クリントン My Life 毛沢東
大学の図書館で比較した自伝と評伝。『My Life』と『マオ』。現代史の凄まじさ。
上巻・下巻、2冊組のボリューム感がいい。弁当箱を二つ並べた厚みがある。クリントン元大統領の人柄が伝わってくる。僕には好感の持てる書物だった。
あのルインスキーの件(くだり)も、本人の口から語るのには勇気がいったろう。ヒラリー夫人や娘に対する胸中を正直に伝える文章。これでクリントンは贖罪を果たしたかったのだろう。自らの恥部を彼は語った。
一方の『マオ』。クリントン氏の自伝と全く同じといっていいボリューム。「ワイルド・スワン」で一千万部の作者による評伝。背筋が寒くなる評伝だった。
毛沢東が結果的に7000万人を死に追いやったことや、権力の頂点を極め亡くなるまで権力の座にいた絶対的権力者の桁違いの放逸までを暴く鬼気迫る作者の執念ー。驚くべき話が次から次へとでてくる。
米中という世界最強の強権国家のリーダーが時代こそ違えて赤裸々にされる。この二冊(計四冊)のページを繰りながら、権力とその媚薬について物思う。
マオで描かれる悪は日本人の知りえない悪である。そして書物でしか味わいたくない悪でもある。
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