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2006年6月 4日 (日)

映画『シャイン』を十年ぶりに。

十年前に観た「シャイン」を久しぶりにみて感動した。感動がより深くなって、うれしかった。十年前の僕は若すぎて、まだこの映画の奥深い部分が判っていなかった。

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デビッド・ヘルフゴットが生き続けることを念じて苦難の道を歩いてきたこと、そして音楽との再会が人を喜ばせることを拠り所にしていること、そして愛こそが彼の人生を豊かに富ませたことも、頭ではなく体の芯から、僕は理解することができた。

最後のシーンが父親の埋葬されている墓地の全景で終わるのは、彼が死の影の谷を歩んできたことと無縁ではないだろう。その墓地は緑に覆われ、愛する人と歩んでいく・・・。

これが実話だということは、驚くべきことだ。

主演のジェフリー・ラッシュがアカデミー主演男優賞をとった時に、会場でD・ヘルフゴットがピアノを弾いたことを思い出す。

感動に心ふるえるのは、最後の再起を果たしたリサイタルのシーンで、ヘルフゴットが感涙にむせぶ所。彼は自らの人生の苦難すら神に感謝しているかのようだ。

彼が人生すべてを肯定し、感謝に満ちているのが伝わってくる。客席にみえる関係者の老いに永い歳月の経過をみる。

脚本を書いた監督のスコット・ヒックスにもし逢えたなら、溝口健二の「西鶴一代女」の影響について聞いてみたい。溝口が示したミラクルを、彼は上手に咀嚼したように僕は感じた。それがどの場面かは言わぬが花・・・。

最後にこの映画に全編に配置された雨や水のイメージは、生命の象徴のように僕には感じられた。瑞々しい音楽がそうであるように。

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