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2006年6月16日 (金)

映画「憂国」ー封印がとかれて

Vfsh0129 Vfsh0130 DVD発売を、誰が想像したろうか?この映画は三島の遺族の意向でネガ焼却された・・・はずだった。つまりこの世に存在を許されない映画だった。しかし依頼された人は焼却せず密かに保存した。今日陽の目をみれたのは奇跡という他ない。

1970年11月25日の三島事件は、僕らの世代に、いや戦後日本に大きな衝撃を与えた。

芸術家として短編小説「憂国」を執筆し、後に自ら製作・監督・脚本・主演して映画「憂国」を造り、三島は現実に先行する形で<切腹>という行為をイメージの世界で予行練習してきた。確か映画「人斬り」でも切腹を演じた。僕には彼の切腹がエロスとタナトスの境界にあるように感じる。

いつか観たいと思っていたそのDVDを、昨晩買ってしまった。

嵐の夜にアマゾンで徘徊している内に、その誘惑に負けてしまった。ピラニアに不意に食われたようなものである。

自宅に届く映画を、直ぐには観れないだろう。とてもリアルな描写があるという。そういう映像描写は苦手である。けれど三島を捉えるには、この映画は不可欠のもの。彼の芸術的衝動を解く鍵のひとつになるだろう。

映画「春の雪」は美しかった。

その原作者・三島が最も自ら愛でた短編小説が「憂国」である。この短い小説には濃密なエロスとタナトスが選ばれた言葉とイメージの構築によって刻まれている。

映画では三島によってワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」から「愛の死」が選ばれ、使われているそうである・・・。

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