« 朝の抱擁 | トップページ | 村上春樹とスタン・ゲッツと »

2006年7月11日 (火)

「気狂いピエロ」 BOW30映画祭から

十代でもし出会わなければ、僕はもっと真っ当な人生を歩んだろう。けれど人生の真実からは遠く離れただろう。

040_1

「気狂いピエロ」ーPIERROT LE FOU(1965)。「きちがいピエロ」っと読む。ゴダールの伝説を彩る傑作。映画監督サミュエル・フラーが実名で出演。「映画とは?」と質問されこう答える。

“映画は戦場のようなもの。愛、憎しみ、アクション、暴力、死。ひとことでいえば感動emotionだ”。

これを聞いたJ・P・ベルモンドはゴダールの愛したアンナ・カリーナと南仏へ逃避行。ひたすら破滅へと失踪する。男の片想いをこれ程昇華した映画はない。ゴダールのアンナ・カリーナに対する恋情が切ない。

彼女のクロースUpのカットが少し長い。恋する男の眼差し。結局ゴダールはカリーナに振られ、この映画を造ることでしか彼女と係わる術がなかった。そのいじましさ。純情。映画史に残る傑作はこうして生まれる。

これは青春映画ではない。

映画の青春である。

■BOW30映画祭で上映。B est O f the W orld。

□「気狂いピエロ」の予告編もみれます⇒こちら

|

« 朝の抱擁 | トップページ | 村上春樹とスタン・ゲッツと »

コメント

「気狂いピエロ」は20代前半の頃、大好きな映画でした。
若い頃に見ておいて良かった・・・という映画が幾つかありますが、これもその一つ。

J.P.ベルモンドの破滅的な演技が素晴らしかった!

でもゴダールの映画は、「勝手にしやがれ」と「気狂いピエロ」以外は、私にとっては難解過ぎて・・・。何かお薦めがあったら教えて下さい!

投稿: 麻波郎 | 2006年7月11日 (火) 19時21分

先程、麻波郎さんのblogにTBしましたが、ゴダールの「軽蔑」は超お勧めです。DVDのレンタルもありますよ。

「気狂いピエロ」の前の作品で、BB(ブリジッド・バルドー)とミッシェル・ピコリの夫婦の愛の物語。けっこう沁みます。

音楽、映像共美しくエスプリが効いていて洒落てます。

アンナ・カリーナに振られてから、政治的になって頭でっかちになっちゃいましたね。学者さんの好きなゴダールは、僕も少し苦手です。

投稿: チャーリー | 2006年7月11日 (火) 19時54分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 「気狂いピエロ」 BOW30映画祭から:

« 朝の抱擁 | トップページ | 村上春樹とスタン・ゲッツと »