「気狂いピエロ」 BOW30映画祭から
十代でもし出会わなければ、僕はもっと真っ当な人生を歩んだろう。けれど人生の真実からは遠く離れただろう。
「気狂いピエロ」ーPIERROT LE FOU(1965)。「きちがいピエロ」っと読む。ゴダールの伝説を彩る傑作。映画監督サミュエル・フラーが実名で出演。「映画とは?」と質問されこう答える。
“映画は戦場のようなもの。愛、憎しみ、アクション、暴力、死。ひとことでいえば感動emotionだ”。
これを聞いたJ・P・ベルモンドはゴダールの愛したアンナ・カリーナと南仏へ逃避行。ひたすら破滅へと失踪する。男の片想いをこれ程昇華した映画はない。ゴダールのアンナ・カリーナに対する恋情が切ない。
彼女のクロースUpのカットが少し長い。恋する男の眼差し。結局ゴダールはカリーナに振られ、この映画を造ることでしか彼女と係わる術がなかった。そのいじましさ。純情。映画史に残る傑作はこうして生まれる。
これは青春映画ではない。
映画の青春である。
■BOW30映画祭で上映。B est O f the W orld。
□「気狂いピエロ」の予告編もみれます⇒こちら
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コメント
「気狂いピエロ」は20代前半の頃、大好きな映画でした。
若い頃に見ておいて良かった・・・という映画が幾つかありますが、これもその一つ。
J.P.ベルモンドの破滅的な演技が素晴らしかった!
でもゴダールの映画は、「勝手にしやがれ」と「気狂いピエロ」以外は、私にとっては難解過ぎて・・・。何かお薦めがあったら教えて下さい!
投稿: 麻波郎 | 2006年7月11日 (火) 19時21分
先程、麻波郎さんのblogにTBしましたが、ゴダールの「軽蔑」は超お勧めです。DVDのレンタルもありますよ。
「気狂いピエロ」の前の作品で、BB(ブリジッド・バルドー)とミッシェル・ピコリの夫婦の愛の物語。けっこう沁みます。
音楽、映像共美しくエスプリが効いていて洒落てます。
アンナ・カリーナに振られてから、政治的になって頭でっかちになっちゃいましたね。学者さんの好きなゴダールは、僕も少し苦手です。
投稿: チャーリー | 2006年7月11日 (火) 19時54分