青年は荒野をめざす
五木寛之氏のこの初期小説は昭和42年3月から10月にかけて「平凡パンチ」に発表された。(僕は後でハードカヴァーで読んだ世代。)
この小説が当時の青少年に与えた影響は大きかった。文藝春秋の大ロングセラーとなった。フォーク・クルゼダーズが同名の「青年は荒野をめざす」という歌をつくったのも五木さんのこの小説へのオマージュだ。
JAZZ AND FREE GO HAND IN HAND.
「青年は荒野をめざす」の英語タイトル。五木氏自ら造ったポスターにそれはみえる。ジャズに対する五木氏の深い思いが小説に色濃く投影されている。二十歳になったばかりの僕はそれを読み過していた。主人公ジュン(20)のナホトカ号に乗ってソ連から北欧へと辿る青春の冒険に夢中になっていた。
五木さんのこの小説の頃から、北欧は日本に近くなったろうか?むしろ遠くなったと感じる。日本は急速にパックスアメリカーナを強化した。一国の宰相がプレスリーの私邸にエア・フォース1で飛びハシャグ姿を呆れて眺めてる。公私のケジメをつけてほしい。アメリカ人にとっても同じ思いだろう。
音楽はHMVやAmazonで購入するマテリアル。でも、生(なま)で生み出され、楽しむ文化体験であり続けたい。いつの間にか僕の音楽はウォークマンや携帯やipodの中に収まりかけていた。音楽は耳だけでなくもっと大きく体で感じるもの。そう改めて思うようになった。
スウェーデンやデンマークへの旅は今でも少し冒険。今日借りてきたSTAN GETZのアルバムは『STAN GETZ IN STOCKHOLM』。やはりSTOCKHOLMと言う言葉にキャッチ・アップされてしまった。
僕はいずれスウェーデンに行くだろう。北欧のクルマや家具、イングリット・バーグマン、グレタ・ガルボ、そしてベルイマン・・・。スウェーデンの生み出したものへの畏敬・尊敬と共に、彼らの築き上げた社会はこれからの日本人の進むべき道を照らし出すと思う。本当の豊かさを考えていけば・・・。
五木氏が示した青春の冒険から遥か遠くまで歩いてきた。しかし青春とは過ぎ去っていくものだろうか?
一冊の本との再会はいろいろなことを考えさせる。
これから僕と共にある音楽はJazzになるかもしれない。そんな予感がしてる。
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