「孤独と不安のレッスン」-いい本との出会い
久しぶりに書店に行った。本屋に行くと本を買い過ぎる ので気をつ けてる。昨晩は新刊二冊買ってグッと我慢。本との出会いは直感的に決まる。出会い頭にピピッとくる。書名・装丁・手に取った時の感じで選ぶ。
鴻上尚史(こうがみしょうじ)氏ー『孤独と不安のレッスン』副題に「よりよい人生を送るために」。(大和書房)
鴻上氏とは同じ大学。一度だけ友人の披露宴で同じテーブルを囲んだ。こちらが良く知ってて、あちらが知らない関係。自慢にならない。この人の演劇人としての姿勢、飄々とした人となりが僕には好ましい。
23章に各レッスンの簡潔なポイントが示されてる。若い人に向けた書き下ろし。彼が若い人のことを考えて考えて書いたのが伝わる。その誠実さ。20年以上も劇団を率いるとは<人間動物園>の住人だ。人間を見る目が正確でいながら優しい。心と体の相関・矛盾も知る。
一番胸を打たれるのは、鴻上さんが自分でなく若い人の将来を考えてることだ。そのために自分に何ができるかを考えている。僕も最近考えているのはそれである。大人は自分のことだけ考えててはいけない。政治家が任期最後まで物見遊山してはならないのと同じ。最後まで国民・民衆のために尽力するのが古今東西の名政治家だ。
自分のことでなく若い人の将来を考える。それはちょとした態度、仕草でわかる。それは本も同じである。
時として別れ際に、それはわかったりする・・・。
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コメント
始めまして。
この本を読んでいたときは、本当にいい本だ―!と思いました。若者向けだけれど、中年にも充分役に立つ、と...。本当です。
でも、何日か経ち、内容をどんどん忘れてきてます。こういう本は、そういう宿命にあると思います。でも、また困った時に開けばいいのでしょう。
投稿: たもと | 2006年7月 6日 (木) 09時29分
たもと さんへ
コメントとTB、どうもありがとうございました。
たもとさんの記事も拝見しました。本の要約がまとめられてあって、再読したような心地よさがありました。
一冊の本が人を救うこともあれば、人をあやめることもあると思います。
鴻上さんはおそらくご自身でいろいろな人生の危機を乗り越えていく内にその体験を若い人たちに伝承しようと考えたのではないか、と想像します。
また年間3万人をこえる自殺者の記録更新を続ける日本で、何かをしなくては、という大人としての思いもあったと想像します。
そのために書き出した本をまとめる過程で、再度彼の思索は深まっていったのでは、と思います。
幸いにして、僕はこの本を緊急に必要とする状態ではないので今は自宅のデスクに飾ってあります。いつでも手に取れるように。
「練習帳」とあるこの本を必要として、そのレッスンを試みる人は鴻上さんと共に思索し彼の指導の許に実践の時間を共有するのでしょうね。
僕は何箇所かで、自分も共通の悩みがあって、鴻上さんはこのように考えたか、というヒントを貰いました。
この本は読むよりも共に生きる本かもしれません。
本を書く行為が、ロマンに支えられているのは、演劇人=行動の人だからだと思います。
またHP、拝見させてもらいますね。
投稿: チャーリー | 2006年7月 6日 (木) 12時47分