イベリコ豚 の 呪文
この間、イベリコ豚を食べた。美味しくて「豚肉」とは違うものを食した感じが残った。それからしばらくイベリコ豚のことを忘れてた。
ある時、FMから「イベリコ豚」という響きが聞こえてきた。イベリコ豚についてゲストは情熱を込めて語ってた。
それからほどなくして、何の脈絡もない時と処で「イベリコ豚」と呟いてる自分に気づいた。「イベリコ豚・・・」もしくは「イベリコ豚め・・・」と静かに呟いてる。どことなく可笑しい音と響きがある。
ドングリを食べてることとか、自然放牧されてること。スペインのイベリコ地方を発祥の地とする黒豚だということも最近になって知った。
僕にとって<イベリコ豚>は「豚」という意味を超え、不思議な呪文と化している。この音の響きに潜むのは何だろ?
リコ・・・という響きから連想する。映画「真夜中のカーボーイ」でダスティン・ホフマン扮するイタリア系浮浪者の本名が確か「リコ」。なのに「ラッツォ(ねずみ男?)」と呼ばれ続ける。本当は「リコ」と呼ばれたかった。
イベの「べ」という濁音が重要だ。この響きにあるフック(引っ掛かり)がこの言葉全体にある流れに棹差すアンカー機能を果たす。
「豚」?。僕は特に偏見はない。あの鳴き声は少々いただけない。けれども彼らは今、吉野家で頑張っている。
イベリコ豚・・・そう呟いてみてほしい。なにか体の奥から力が湧いてくる気がする。見知らぬスペインの地でノンビリとドングリを食べて平和に暮らす。あるいはフラメンコを観たりして。
ある日突然さらわれ数奇な宿命に導かれる。極東のジパングで珍重される君。その名は「イベリコ豚」。
君は歴史に名を刻む。
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