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2006年8月30日 (水)

映画「ミュンヘン」を観終わって

長~い旅を終えた気分になった。楽しい旅ではないが経験しなければならない旅。携帯PCで漫喫(ネット・カフェ)で、自宅のTVで。観終わるまでのハシゴ体験。こんな例はない。観てて辛くなるのが理由その1.しかし途中で放り出せないのが理由その2.

安住の地を得たはずのイスラエルは今だ常時臨戦態勢。主人公に安息の日は訪れない。シェイクスピアの「マクベス」通り、眠りを殺したから。

スピルバーグは<スリラー>に接近してる。現代社会がスリラーだから。昔の映画になるがジョン・シュレシンジャーの「マラソンマン」(ダスティン・ホフマン主演)のLookに似てる。

J・シュレシンジャーはミュンヘン・オリンピック公式記録映画「時よとまれ、君は美しい」(は邦題。原題は「Visions of Eight」だったと記憶)の八人の映画監督のうちひとり。唯一マラソンマンがテロに動揺しながら競技にでる題材を選んだという。{僕は観れなかったが、どこかで観れるのだろうか?日本からは市川昆監督が100m競技をテーマに参加。他にアーサー・ペンが棒高跳びを描いた。}

スピルバーグは勉強家だ。およそ関係した映画・写真・映像は押えてるだろう。彼の偉大な処は、映画史の文脈の延長線上に自作を造ってる処だ。

21世紀の後半には、きっとドイツの名監督フリッツ・ラングのように大勢の研究家が彼を研究しているだろう。

苦渋に満ちた娯楽でもあり、しかし解体されたドラマである。

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