映画「男たちの大和/YAMATO」を観て
観るのを避けてた。戦艦大和の甲板上の悲惨な地獄絵をみたくなかった。けれど次男坊が友だちと連立って映画館に行き、みた感想を話してくれた。皆で泣いたそうだ。気になってDVDで観ようと思い直した。
とてもシッカリ造られていた。戦艦大和は不条理な戦争の象徴だった。愚かな指導者たちは防空壕にこもって九州の安全圏にいたそうである。死ぬとわかってる七千名の兵士は自分らの死の意味を求める。昔も今も変らないのだなと思う。角川春樹さんはいい仕事をした。佐藤監督は確か戦中派だったはず。彼の鎮魂を感じた。
最近カッコいいこと、威勢のいいこと、胸を張ったことが政治の世界で増えてる気がしてならない。戦争は理不尽で人間の体が壊れやすい、目もあてられないコトになることを忘れて、軍事オタクみたいなコトをいう政治家すらいる。歴史の勉強や映画を見るというコトを怠って政治家になるとそういうことになる。
日本は降参しました。無辜の夥しい血が流れました。軍人も民間人も。徹底的に負けたという事実。それは不愉快なこと。戦艦大和が沈没するときに甲板が巨大な滑り台のようになり人も機関銃座も雪崩をうって落ちていくシーンがある。価値観とか美意識など根こそぎ崩壊した経験を日本人はたった60年前に持ったはず。
戦争で苦労したことがないから、想像力がないから、カッコいいことを言う。九州の特攻隊の基地だった知覧(ちらん)を尋ねると、特攻隊員は少年の年齢だったことがわかる。死ぬとわかってる彼らが認めた手紙を涙なしで読むことはできない。国家が命を粗末にしたのだ。同胞の命を軽んじた事実に蓋をしないでほしい。
昔、糸井重里さんが反戦ポスターを造った。知性というものを感じたデザインとコピー。ポスターのフレームは総理の見た目で。確か通路のように両脇に人々が立って片手をかざし行き先を示してる。その写真に糸井氏のコピーが収まる。
「総理、まずあなたから」
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サマワで活動した自衛隊隊員の友人から聞いた話。15Kg痩せて還ってきたという。別人のようだったとも。その間にも休日は官邸で寛ぎ治安の確保された外国ではしゃぐ政治家の姿を僕たちは見せられてきた。国際感覚を失った政治はあやうい。
世界はそんな日本の状況をみぬいていますぞ。国家戦略、あります?
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