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2006年9月 8日 (金)

『羅生門』を 小田急急行映画館で

みた。・・・小田急線「急行新宿行」の座席でPCにDVDをかけた。勿論ヘッドフォンをつけた。他のお客さんには気づかれないように。次第に画面に集中した。予想以上に良い視聴環境である。

何度か『羅生門』はみた。黒澤明が世界のクロサワとなったメルクマール。久しぶりに再見。やはりマーヴェラス。凄い!ある意味常軌を逸する気迫が画面に宿る。

三船敏郎の演技の表情に視線が集中してくとフル・ショットなのに意識上はクロース・アップになる。演劇的演出が施されてるので、そういう事態が生じる。そしてそれをクロサワは計算にいれてる。情報量が非常に密。感情・情感、次に派生するコトを予測する観客の想像力までも計算する作劇と画面構成。武術の気迫のようなものをモノクロ画面から感じた。

暗い森の中のロング・ショットで森の上部からパン・ダウンして白い馬、京マチ子演ずる女人、それに小川のせせらぎに至るーまるで掛軸の水墨画のよう。垂直のパンダウンが絵画的カタルシスを与える。これはクロサワの絵描きとしての才能だろう。

世田谷・成城(狛江)の黒澤邸の近くを小田急線は通過するのだろう。時を越えてPCで『羅生門』を鑑賞する不届き者を、黒澤さんは許してくれるだろうか・・・?

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