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2006年9月 6日 (水)

砂の器 デジタル・リマスター版

昔映画館でみたときよりも美しい。曇りガラスを磨き上げ視界をクリアにしたようだった。松竹百十周年記念公開。日本映画初のデジタル・リマスターとある。その予告編にあった言葉ー。

「宿命とはーこの世に生まれてきたことと、生きているということである」

メインテーマが流れる後半の長~いコーダのようなシークエンスは涙なしに見れない。それが老練な野村芳太郎監督、橋本忍・山田洋次脚本であろうと、この人たちが本当に伝えたいことを伝えようとしてるのがわかるからいい。親子の絆。最近世間では少し暴落傾向の人間関係ー。

お遍路をつづける親子の情愛が切ない。加藤嘉(かとうよし)演じる父親と少年の魂の交流と宿命の哀しみが切々と伝わってくる。1974年公開当時に見たときにはない視点が今回はあった。親になったから親の立場から見てる。少年が可愛そうなのと同時に、この父親の切なさが胸に迫る。日本の風土を親子が放浪する姿は、形は変われどさまざまな旋律を奏でながら僕たちが辿る道でもある。砂の器はもろい。けれどそれに託す思いは深く強い。

きっと砂の器に盛るものは儚い命(いのち)なのだろう。

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コメント

「砂の器」は私にとって今まで観た日本映画で5本の指に入る作品です。
嫌いな人は全くあの手の作品はダメみたいですが、私は子供の頃と大人になってからと二回観て、二回とも号泣しそして色々考えさせられました。
それ以降加藤嘉の顔を見るだけでウルウルしてしまった時期もあったりして・・・。
デジタル・リマスター版、是非とも観てみたいです。

投稿: 麻波郎 | 2006年9月 7日 (木) 15時18分

麻波郎さん、この度はおめでとうございます。
きっといつかお子様と二人でみれますね。

親子の間に流れるものこそ宿命とか絆と呼べるものだとチャーリーは思います。

それにしてもあれだけ「涙」ボタンを押される映画って、稀有ですね。

加藤嘉さん以外この配役はありえませんね。あの日本海の荒波の浜辺で二人の親子が歩く後姿。そこにあの音楽がカブるだけで・・・うううっ(涙)。

投稿: チャーリー | 2006年9月 8日 (金) 05時04分

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