「イングリッシュ・ペイシェント」(1996)の監督
アンソニー・ミンゲラはきっと大人の激しい恋愛の経験者に違いない。映画というものは冷酷な位、監督の恋愛指数を明らかにしてしまう。
「コールドマウンテン」(2003)も素晴しい。しかしアカデミー賞9部門受賞の「イングリッシュ・ペイシェント」は格段に素晴しい。
ハンガリー伯爵ラズロ(レイフ・ファインズ)と人妻キャサリン(クリスティン・スコット・トーマス)の悲劇的な恋。ミンゲラはアメリカ人女優のかわりにクリスティンに人妻役をキャスティングした。その結果20世紀フォックスは撤退。何度か休止しつつも完成をみた。そして歴史に残る恋愛映画が生まれる。ミンゲラは恋する女に知性と教養が必須と知って譲らなかったのだろう。
驚くべき描写がある。まだ触れ合ったこともない二人が始めて抱擁するシークエンス。激しい女の平手打ちから始まるその愛の表現を一体どれ程の映画がそれまでに描いただろう?「コールドマウンテン」では、ジュード・ロウと二コール・キッドマンのファースト・キスのシーンが美しい。恋の真実がある。
恋愛の教科書があるとすれば、こういう映画たち。書店にたくさん並ぶ恋愛指南書を読んでも無駄。
恋愛はあなたの人生に書き込む物語。How to で導かれる技術などである訳がない。
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