映画「バベル」は既に映画「アモーレス・ペロス」に
イニャリトゥ監督の「BABEL」を観てから随分経つ。あの映画に描かれた世界は、そのまま現実世界に続いてる気がする。
彼の長編監督デビュー作「アモーレス・ペロス」(1999)を今夜観た。この時既にイニャリトゥは巨匠であり、メキシコシティを舞台にBABELに通じる世界をつくってた。
アモーレス・ペロスは「犬のような愛」とも「最低の愛」とも受取れる題名。BABELと同じく複数(ここでは三つ)の軸で物語は進む。
世界はどこかで捩れながら繋がってるという世界観。救いのない愛の果てにかすかな希望もかいまみれる2時間半。
メイキングでは映画のロケ撮影前と撮影終了後に、イニャリトゥが音頭をとってスタッフ・クルー全員が手をつなぎ祈りを捧げ、薔薇の花を空に投げるシーンをみることができた。
ラテンの男は熱~い。
映画に注がれたパッションがそのまま、画面に濃密に反映してる。ハリウッドの映画が電気紙芝居に思える程の映像の迫真性。それはたたの技術的問題ではなさそうだ。
祈りを捧げるように映画を造る・・・そんな造り方はどの映画の教科書にも載ってない。
そう、費用対効果(ROI)とは違う位相に、感動の水源地はあるのだろう。みんなが賢くCGを多用してるその隙に、営々とラテンで素晴しい才能が育まれてた訳である。
映画。
まだまだ捨てたもんじゃない。
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