映画「ブリッジ」を観て
恵比寿ガーデンシネマで「ブリッジ」というドキュメンタリーを観た。
ゴールデンゲート・ブリッジを巡る命の問題を扱った映画である。大人ならば見るべき映画と思った。敬虔な映画だった。
人は時として道に迷う。時として絶望にうちひしがれる。自らの命を捨てる行為が行動化されるのは“逢魔が刻”とでも呼べるような時があって、この時をやり過ごせば死ななくて済むというような刹那が人生にはあるのだろう。
それに無縁な人は、実はいない。
人の悲しみと逡巡と絶望が、あまりにも美しいゴールデンゲート・ブリッジの眺望に刻まれる。
昔、子供とサンフランシスコを旅した。まだ12歳だった息子とタンデムのレンタサイクルに乗ってゴールデンゲート・ブリッジを渡った。眼下に広がる湾の光景、足元から見下ろせる海峡に足がすくむ思いがした。橋を渡るとサルサリートという美しい町がある。小さな噴水があった。その傍でジェラートを二人で食べた。
幸せの思い出がある。
命は自分のものではなく、与えられたものであると信じてる。自らの命を殺めることは、周囲の肉親や友人や知り合いの心を深く深く傷つけ続ける行為であると、心のどこかで思慮したら、あるいは・・・と思う。
悲しいけれど、この日本と云う「美しい国」もまた、世界有数の自殺大国。たった二年でベトナム戦争のアメリカ兵の戦死者を抜く。その現実に蓋をして、勝者は誇示し自らの欲と自らの損得にかまけ、平和を謳歌してる。本当にいいの?
自ら問いかけながら、この映画を観終わった。
もうひとつの映画のblogもご覧いただきたく・・・ ⇒ ◎
| 固定リンク
コメント