映画「パリ、テキサス」の乾いた風
ライ・クーダーのスティール・ギターの響きは、少し平家琵琶の音色に通じる。耳に残るサウンド・トラックだった。乾いた風が吹く。
愛を見つめるために放浪する。愛しすぎた者の悲劇。そんな逆説で映画は愛を語る。これはやはり80年代を代表する映画のひとつに違いない。
ヴェンダースは、女優の選び方がとてもうまい。このナターシャ・キンスキーは絶品である。他のどの女優にも変えようがない。「パリ、テキサス」を決めてくれた女優である。(ネタばれしたくないので明かしませんが、最終局面で彼女は登場する。)
家族、あるいは母と子の絆を印象的にほぼワン・カットで表したシーンにこころ打たれた。
アメリカのロンサム・カウボーイを、ドイツ人ヴェンダースは撮りたかったのだろうか?真情溢れるややクレイジーな主人公の男性の名をトラヴィスとしたのは、「タクシー・ドライバー」のデ・ニーロ演じた主人公トラヴィスに通じるからだろうか?
そんなことを考えながら、今朝4時に家をでた。
行き先を決めないままの旅にでた。
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