小説「ビット・トレーダー」
Bit Trader。ネット株のトレーディングを舞台にしたビジネス・クライム・ノベル。とても面白い。
著者の樹林伸は漫画やドラマの原作者だけあって、プロットの展開が速い。映像ならば細かいカットをモンタージュする緊迫感が、デイ・トレーディングの描写にはある。行為と心理の綾が面白い。
本の帯の見出しー
「お金って、いったいなんですか?」
皆、お金に対するさまざまな欲望がある。しかしきちんとお金を語れる人は少ない。お金は人を豊かにする一方で、人を狂わす。現実世界をみると、お金で人生を狂わせてる人は決して少なくない。一方でお金は大切なライフラインでもある。
このお金に対する問いかけは、そのまま読者の心の中で反響しつつ、やがて作中人物に共鳴していく。
経済書やマーケティング関連の書籍は山のように読むけれど、小説は久しぶりだった。描かれる世界に引き込まれ、異界をさ迷う感覚は楽しい。
仕事を終え帰宅するまでのひととき、小説というファイヤー・ウォールで仕事と私生活を区切る。そんな習慣は素敵かもしれない。
読み続けたいけど我慢しよう。帰りの電車まで・・・。
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