TVドラマ「点と線」の魅力とは
早朝の電車に揺られながらPSPで「点と線」を見終えた。TV画面の電車内のシーンと現実の座席の揺れとが共鳴するような感じがした。
戦争で生き残り、体内にグラマンの機銃弾の破片をそのままにしてる。それは戦地で生きたいと願い無念に死んでいった戦友たちへの思いがそうさせている。市井の悪を暴く先に、政界や財界の巨悪がのうのうと生き延びることへの怒りが潜んでる。
それは戦後間もない頃の時代の話だろうか。いや現代も何も変わらぬ構造だと、制作者たちは暗示してるかのようだ。
松本清張の「ゼロの焦点」「張り込み」「砂の器」などの映画をみてきて、その底流に流れる人間の哀しみと庶民への温かな視点、そして巨悪の暴き方などが、このTVドラマをみてて蘇ってきた。昭和という失われた時代への郷愁も感じることができた。
映画における刑事の存在は、組織と相克する宿命を負っていることが多い。組織との葛藤は、そのまま私たちの職業生活に共通する課題を照らし出す。だから感情移入をし、心打たれたり、応援したりする。権力の側にいながら、その権力構造の中で矛盾にさらされ苦しむ姿に共感を覚える。
そんな刑事像に、ビートたけしは新たな人物像を造型した。
もう一度、見直したい。
出演した役者陣は誰もが見事な演技を披露した。本当にいい仕事をしたのだなあと思った。
●「点と線」のHP ⇒ ・
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