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2008年3月13日 (木)

太平洋ひとりぼっち

昔観た映画を最近観ると、いろいろ発見がある。二三日前にBSでみた「太平洋ひとりぼっち」も子供時代に観た映画だった。

故・市川崑監督のモダンなキャメラワーク。太平洋上で堀江青年(石原裕次郎)がイメージする都会の心象を望遠レンズで切取るカット等、東京オリンピックの記録映画でもみられたデザイン感覚が、今も古びてない。

これは1962年にヨットで単独太平洋横断を成しえた実在の堀江青年の物語。

堀江青年は、まさに「プロジェクトX」を成功させた人物。

今度見て興味深かったのは、小さなヨット「マーメード号」に搭載した備品の数々。ノートに手書きで箇条書きにしているのを、キャメラがなめていく。

堀江青年の脳裏でシュミレーションされ吟味された品々。

ことを企てるのは、結局 ひとりから。

そのひとりの企てが、時代を体現したということ。

幾多の困難・試練を乗り越え、サンフランシスコのゴールデン・ゲート・ブリッジに辿り着いた時に、感じる達成感は、高度成長時代を生きる日本人の象徴ともいえるだろう。

たんなる冒険譚、成功譚を超え、底抜けの明るさを感じさせるのは、裕次郎の魅力。

もしもいま、裕次郎さんが生きていたなら、このニッポンをどのように感じるだろうか?

ニッポンの戦後の青春ーそれを感じさせる映画だった。

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