キングダム ~見えざる敵
サウジアラビアでテロがあり、FBIが乗りこむ。テロリストを殺すまで大勢の人が死ぬ。少しやりきれない感が漂い、主役のジェイミー・フォックスの表情の憂鬱さが印象的。
結局、血で血を洗う争いでは何も解決しないということを、映画の最後で暗示する。
それにしても、映画はこのような政治テーマをも、娯楽に加工し商品として提供し得る。
そのことに、あらためて、社会と映画の関係性を再認識する。
この映画をみて知ったことは、次の事である。
①テロはどのように行われるか?
②自爆テロはどのように行われるか?
③テロの真犯人をどのように割り出していけるか?
④アメリカとイスラムの利害関係と文化的衝突。
目には目を、の繰返しが続く。
映画の快楽としてウェルメイドな映画だが、心をうたれる映画ではない。
「ブラックホーク ダウン」「ボーン アルティメイタム」のLOOKを想起させる。こういう映画は、政治社会の教材として使えると思う。
現実を映像で呈示する処に、文字からでは知りえない「現実感」に近い感覚が養われる。
それにしても、こういうものまで資本主義経済下でビッグビジネスにしてしまう処に、アメリカの現実があるのもまた事実だ。
世界中に暴力を制圧するための保安官を派遣し、暴力で暴力を制圧しようとする。
それは有効でない・・・そのことに、アメリカが気づき始めた地点に、この映画は立っている。
そこが虚しい。演じてる皆も少し虚しいはず。
とうの昔に悟れることでは、なかったか?
原題「THE KINGDOM」。「ヒート」「コラテラル」のマイケル・マン製作。
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