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2008年4月28日 (月)

さらば夏の光

ボードレールの「秋の歌」の一節から、この吉田喜重監督の映画の題名は引用されただろうか?

1960年代最後のATG(アートシアターギルド)で劇場公開された実験的な劇映画だから、今ではこの映画を知らない人がほとんどではないか?

自宅に吉田監督のDVDパッケージがあり、時々、みたくなる美しい作品だ。

日本航空が協力してる。

ヨーロッパの諸都市を背景に、ヒロイン岡田茉莉子が愛に彷徨うメロドラマ的装いを持った風光明媚な観念劇。

しかし、ここに流れる旅情や叙情、愛の行方などは、既に今のニッポンが失ってしまったもののように思える。

なぜか懐かしく、そして胸の奥がうずくように思えるのは、現代音楽家・一柳慧(いちやなぎ・とし)氏のメロディにも依る。

あの時代は、真面目に恋愛したよなあ・・・そんな感想を持った。

あの時代には子供だったボクは、そう思う。

今の時代は、恋愛が「欲望」とうまくミックス・カルチャーした。

恋愛は「商品」となってしまった。恐るべし、資本主義。

そんなことを思いながら、この映画を見終わった。

フランスの文化状況を案内するメール・マガジンは次のような記事を送ってきた。

「間もなく5月が始まります。フランスでは、良いお天気が続くからか
En mai fait ce qu'il te plait5月には、お好きな事をしなさい
ということわざがあります。
40年前の1968年5月革命の時に、このことわざはスローガンになりました。」

(引用終り)

・・・1968年 五月革命。

吉田監督の「さらば夏の光」の最後のテロップは「1968年、夏」で終わった。

今に繋がる時代が始まった基点は、1968年だったかもしれない。

何かが破壊され、それに代わる何かが、建設されたであろうか?

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