「嘘を見破る質問力」
書名のリードコピーには「反対尋問の手法に学ぶ」とある。
弁護士の書いた新刊(日本実業出版社)である。
相手の嘘を見破る5つの方法などが書かれてある。平易な決してハッタリのない良書だ。
本書を書いた目的を、著者は巻末で次のように語ってる。
(本書のエッセンスをしっかりマスターし、工夫を加えて) スマートで快適な人生を送っていただくことです。
「スマートで快適な人生」とは、人の「嘘」や「記憶違い」で翻弄されない生活だろう。
テクニックやセオリーを学ぼうと思い読んだこの本で収穫だったことがある。
嘘をつき通すのは、ストレスフルで精神的苦痛を感じるものらしい。
一時しのぎができたとしても、人間は自らの「嘘」によって苦しめられる。その摂理は、なかなか気づかぬことだ。そして少し救いがある摂理だ。
結局、人は自ら自らの人生によって贖う。
そう思えば、トラブルに巻きこまれても、少しは冷静になれそうだ。
冷静になれる、ということは大切なコンディションである。
子供たちに、「うそをつくな」と教えるのは、真正直に生きろ、と云っているのではない。
「嘘」によって、自らの魂を穢さないで生きていってほしいから、そう云うのだ。
心の安寧を保つこと。
それは何より大切なコンディションである。
世界は、人が思う以上に、因果応報の摂理に支配されていると思う。
すべての嘘が悪いわけではない。
悪いのは、事実や真実を捻じ曲げて、自らの利のために他人を不利や不幸に陥れる嘘のこと。
それはシェークスピアの時代においても、おそらく太古にも、そして現代にも脈々と続く。
その中で、スマートで快適な人生を送るために、学ばなくてはならないことが、まだまだある。
もっと人間を、知らねばならない。
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