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2008年8月18日 (月)

映画「フローズン・タイム」

原題「CASH BUCK」よりも、邦題の方がしっくりきた。

ファッション・フォトグラファーの監督らしい着想で、時を止め、一瞬の中に永遠をみせようと試みる。といっても難しい話ではない。少しコメディ・タッチの恋愛映画だ。

主人公の画学生の男の子は冷静な感じで、好感が持てる。

スーパーマーケットの中で静止した女性たちは、彫刻のように文句なく美しい。そしてこの映画はその美しいショットで印象に残る映画になるかもしれない。

それぞれ静止した女性のポーズが決まってる。ファッション誌のように。

その美しさをみてると、人間の美的感覚の均整は研究しつくされてて、商業的に、その美のバランスが活用されてると受止めた。

写真家は日常の一瞬を切り取り、イメージを定着しようと試みる。

しかし映画は動きの中に何かを語ろうとする。

この映画は映画の中に写真を取り込むことに成功しているが、外観と内観を共に表現しえたか、というと微妙だ。

マネキンのような美しさ以上に、美しい一瞬をみせるのが人間であると、オリンピックの選手たちをみていると思う。

勝っても、そして敗れても、そこに一回性の美が垣間見える。

昔、ミュンヘン・オリンピックの記録映画があった。そのタイトルは、「時よ止まれ!君は美しい」という邦題がつけられていた。確かゲーテの詩からの引用だったと記憶する。

フォトグラファー出身の監督が、次に描くべき領域は、<動きの中にある永遠>という命題かもしれない。

この映画「フローズン・タイム」のイメージが将来どのように自分の脳裏に残るか。ちょっと楽しみである。

映画の一番最後は、雪のシークエンス。

静止した雪の世界で、ちょっと素敵な恋人たちの“発見”がある。そこにはポエジーがあった。

儚いけれど、残るイメージがある。

映画「フローズン・タイム」→ 公式HP

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コメント

映画とは
Motio Picture
と英語ではいいますよね。
最近の日本映画をみると、
『なんでこんな話を映画にするの?』
と首を傾げたくなるものばかりじゃありませんか?
黒澤さんが画がうまい理由を考えた方がいいですよね、日本の映画制作者は。

投稿: arriba | 2008年8月19日 (火) 10時15分

>arribaさん

映画に興奮する!という経験を、十代の頃 しました。

黒澤明は、もっと幼年期に、夏休みの子供会がやった野外映画会の強い印象がありました。

風ではためく屋外のスクリーンに映し出されてたのは、「七人の侍」。

野武士の馬の攻撃する様と、はためくスクリーンが一体になって強烈な印象でした。

本物の映画は、スクリーンの裏側からも(!)、判るんです。

投稿: チャーリー | 2008年8月20日 (水) 07時23分

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