映画「クライマーズ・ハイ」
日航機墜落事故に遭遇した地方新聞社の一週間を描く中に、仕事というもの、生きることの意味を問いかけてくる映画だった。
“あの夏”の時間(事故のおきた夏)と現在の時間(山を登る)という二つの時間が流れている。
主人公(堤)は世界最大の航空機墜落事故の詳報を紙面に反映していく仕事の責任者である。
その仕事をまっとうするために、様々な社内の政治的抗争、利害関係の対立、そして個々人の葛藤に晒される。
それは成功もし、失敗もする。善戦はしたが勝利はなかった。
ましてや働き盛りの尊い命が奪われた現場の報道だ。
現実の仕事がそうであるように、彼はヒーローではなく、生身の戦う企業人である。
しかし山に登るという現在の時間では、信頼とか技術によっても生と死を分かつ危険を完全にコントロールはできない“神の領域”に命を託している。
それは「ディア・ハンター」で鹿を打ちにデ・ニーロが山へ入っていく行為と同様、この映画の主人公におけるイニシエーション(通過儀礼)であったに違いない。
人は時としてその人生を組立てるためにクライマーズになる時がある・・・。
たくさんの事を語りたいし書きたい映画だったが、今はここで止めよう。
新年の仕事を始める前に、観てよかった映画だった。
| 固定リンク
« 箱根駅伝のゴールには | トップページ | 挨拶回り »
コメント