映画「チェ 28歳の革命」
スティーヴン・ソダーバーグ監督を贔屓(ひいき)にしてる者は、このチェ・ゲバラ2部作を見逃したくないと思うだろう。(主演ベニチオ・デル・トロはカンヌで主演男優賞を受賞。)
昨日は「チェ 28歳の革命」ロードショー初日。劇場はほぼ一杯だった。
ソダーバーグらしい知性的なアプローチ。しかし技巧は緻密に仕込まれ、むしろ淡々と描かれている風だった。
革命が成就するまでの戦いの時間を縦軸に、NYを訪れ国際連合で演説する64年のモノクロームが横糸として織り込まれる。
戦いの現実と神話化されたカリスマ性とを往復しながら、チェ・ゲバラという人物と映画は併走する。
もっと劇的に描けたろうし、もっと英雄的に描けたろう。
しかし、そう描かない。
七年間リサーチを重ねて得たエピソードが紡がれた。そうパンフで読んだ。だから革命が成就する過程は英雄的行為よりも、読み書きを教えたり、医師として治療したり負傷者を運んだり、喘息に苦しんだりするチェを我々はみる。
デル・トロがカリスマ性をみせるのは、モノクロームの国際連合での演説シーンだ。
この第一部をみて、第二部「チェ 39歳別れの手紙」を見ない訳にはいかないと思った。28歳と39歳は「明」と「暗」であろうが、本当はゲバラは、ブレていないのでは?と予感した。
当時も今も、ブレる人間、ブレた生活をしてる政治家が多い中にあって、チェ・ゲバラは「ブレない人生」を貫いたのだろう。
個人的には森の中で戦いの合間の休息の時に、本を読んでいるゲバラがカッコよかった。
ゲバラがいまもなお世界中の若者にシンボルであり続けるのは、「革命家」としてでなく、「カッコいい男」のイコンだからと思う。
39歳の最期の341日間を、見届けておきたい。
2部の公開は1月31日(土)である。
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