映画「チェ 39歳別れの手紙」
ソダーバーグの「チェ・ゲバラ」二部作の後編を観た。
前編がチェ・ゲバラの「希望の物語」とすれば、後編は「絶望の物語。
淡々と描かれて、物語というよりドキュメンタリーに近い感覚でみた。
二部作はコインの表裏のように明暗が際立ってる。
けれど、チェはぶれていない。
医者として働き、戦意を失った兵士を冷静に引締め、最後まで戦う。
おそらくは勝利を信じられない状況を冷静に把握しながら・・・。
エンドタイトル・ロールでは無音のままたくさんのスタッフ名が下から上へと流れた。音楽でエモーションが生じないように、とのソダーバーグの意図を感じた。
この映画に政治的な意図はない。そして逆説めくが、チェ・ゲバラの内面を描くつもりもないだろう。
チェ・ゲバラの28歳と39歳を選んで、彼がどこでどう生き、そしてどう死んだかを、正確に映像に定着しようと試みたものだろう。
木立の中で、本を読んでいるゲバラの姿が印象的だった。
見上げる木立が風にざわめく様に、ゲバラの絶望を思った。
この二部の後半、だんだんゲバラがキリストのようにみえてきた。
それはソダーバーグがそのように描いたというより、ゲバラがそうだったのだろう。
永らく記憶に残る二部作になるだろう。
おそらくDVDでは観ないし、購入しないだろう。
劇場でみた四時間以上の時の一滴が、自分の記憶に残っていってほしい。
| 固定リンク
コメント