新海誠監督 「秒速5センチメートル」
NHK BSで放映の新海誠監督「秒速5センチメートル」を、薦められて観た。
「雲の向こう、約束の場所」で新海誠に出会った。
それに続く4作目、「秒速5センチメートル」。
3本の短編、<桜花抄><コスモナウト><秒速5センチメートル>で構成されている。
小学生の遠野貴樹(とおの たかき)と猪原明里(しのはら あかり)は、転校で中学時代に、離ればなれに。その二人のドラマが、<桜花抄>で描かれる。
<コスモナウト>は種子島に転校した遠野を中学から高校まで恋する澄田花苗(すみだ かなえ)の視点で描かれる。
そして<秒速5センチメートル>は、大人になった遠野の今の視点で語られるドラマ。
短編という形式で、説明的でない余白の部分が、観ている私たちの思いで紡がれる余地を残した不思議な物語。
桜の花吹雪と静かに降る雪。
人生の時の時、の感覚。
別れ。そして永遠。
宇宙に向かって重力を離脱すべく上昇するロケットと、主人公の遠野は実は同じなのではないか?
新海誠の風景と光は透明でいて暖かく、オリジンに満ちてる。
説明的でないその物語は、現実に似た物語で、そこから観る者が何かを掬い取る。
そういう余地を残した物語だから、たぶん消費されないだろう。
「秒速5センチメートル」というのは、桜の花びらの落ちるスピードだそうである。
そして種子島のロケットは、時速5キロメートルで運ばれていく。
我々は誰もが孤独に宇宙を旅する宇宙飛行士なのかもしれない。
山崎まさよしが歌う主題歌「One more time, One more chance」が胸に沁みる。
この映画を観るように薦めてくれたのは、高校生の次男坊だった。
青春の只中の次男坊の心を捉えたこの映画は、少し長く宇宙空間を旅してきた父親のボクの心もまた捉えた。
十代と変わらぬ瑞々しい思いに、再び出会えるなんて。
ありがとう
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