「孤独と不安のレッスン」(鴻上尚史)大和書房
「孤独と不安のレッスン」に続いて、小さな文字で「よりよい人生を送るために」とある。
鴻上尚史(こうかみしょうじ)氏の著書を書斎の本棚から引出して、読み返した。
孤独には「ニセモノの孤独」と「本当の孤独」があること。
不安には「後ろ向きの不安」と「前向きの不安」があること。
そういう基本軸のもとに、舞台演出家である鴻上氏らしい身体論で、若者に語りかけるように説く23章である。
例えば、「恥ずかしくない孤独を体験してみる」(3章)、「自分との対話の仕方を知る」(5章)、「「考えること」と「悩むこと」を区別する」(10章)、「つらくなったら、誰かに何かをあげる」(16章)、「自意識を静め、ノンキになる方法を見つける」(18章)、「あなたを支えるものを作る」(20章)、「声に出してみる」(23章)等、おそらく鴻上氏が自ら「孤独と不安のレッスン」を経て、会得した技法を説いている。
孤独と不安に対する心構えを説く章も、精神論ではなく、身体論で語っている処がいい。
本というものは、素晴らしいものだと思う。
永らく書斎の書架にあった本が、再び、自分に働きかけてくれる。
三年前に購入し、たしかに読んだ。
その本を、再読した。
以前よりも、もっと深く身体に沁み込むものを感じた。
少し、自分の成長を感じた。
三年前に、記したブログ記事を読返して、そのように感じた。
人間としての基本(ファンダメンタルズ)を身に着けることは幾つになっても大切なこと。
強くなる、というのは強固になることではなくて、しなやかになることかもしれない。
そう思った。
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