新宿御苑 書類を読込む場所として
何十ページもの書類を、精読しなくてはならなかった。
オフィスやカフェで読込む以上に、もっと集中しなくてはならない書類だった。
オフィスを出た時、薫風が渡っていた。
そうだ、新宿御苑に行けば、静かに書類が読める。
そう閃いた。
木漏れ日が美しい。
濃緑の林を歩いていると、爽やかな風が渡った。
フランス式庭園の一角にある、プラタナスの並木。
それがお気に入りの場所。
その木陰のベンチを選び、書類を読込んだ。
書類の中から、さまざまな因果関係が浮き上がってくる。
どこが重要で、どこが弱いか。
そういった事も透けてみえてきた。
この場所で書類を読込むのは、正解だと思った瞬間、なんとなく大勢の集団が接近する気配がした。
書類から目をあげると・・・
プチ遠足の集団が目の前を横切っていく。
男の子と女の子が手をつないで。
通過する時、書類を読んでるボクの方をみる。
子供たちの通過の後、父兄が通過。
オレンジのキャップの集団の次は、ブルー、グリーン、レッドの集団が通過した。
すっかり集中が途切れた後、ふたたび静寂が戻ってきた。
いつの間にか、お弁当タイムを緑の芝生で楽しんでいる集団で、新宿御苑は一杯になっていた。
重い書類を手に、ボクは次の静かな空間を求めて、新宿御苑を後にした。
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