村上春樹氏の短編に再会 100パーセントの女の子
村上春樹氏の短編集「カンガルー日和」には、とても長いタイトルの短編が収められている。
「4月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて」
そう題された短編をとても好きだった。
今でも手元にある「カンガルー日和」。
奥付には、1983.11.14 初版第9刷発行とあった。
1980年代の追憶。
二十数年間、この短編は心のどこかにずっと仕舞われていたらしい。
先日、次男坊の英語読解力の強化のために、英語のリーダーを買い求めた。
春休みに特訓をしてやろうーそう考えた。
その『CROWN English Reading New Edition』(三省堂)をパラパラと飛ばし読みしてふと目にとまったタイトルー。
On Seeing the 100% Perfect Girl One Beautiful April Morning
by Haruki Murakami
短編との再会がうれしかった。
おもわず最後まで読んだ。
村上春樹氏の好きな表現は、例えばこんな風に訳されている。
ー「そしておきまりの運命の波が二人を翻弄することになる。」
The cold indifferent waves of fate proceeded to toss them unmercifully.
ー「しかし彼らの記憶の光は余りにも弱く、」
But the glow of their memories was far too weak,
ふたつの言語圏が100%の女の子を巡り融合していく。
その体験は素敵だった。
今年の4月のある晴れた朝に、と想像をめぐらした。
原宿の裏通りを歩いてみよう。
その時、80年代に出会ったボクの100パーセントの女の子は、道の向うから歩いてくるのだろうか?
それとも、ボクの隣りで、同じ方角へと歩いてくれているのだろうか?
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