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2010年3月28日 (日)

渡辺謙 遠まわりの雨

山田太一ドラマスペシャル「遠まわりの雨」を観た。

山田太一氏の台詞には、いつも不思議な響きがある。

ぶつっ ぶつっとした感触、それは山田太一氏独特の言い回しだ。

ごつごつと不器用に生きている感じ。

へこたれてる」-渡辺謙が呟くその日本語も、久しぶりに聞いた気がする。

男性の視聴者としては、このドラマにラブ・ストーリーよりも、渡辺謙がどう生きようとするか?に関心が向かう。

少なくとも、ボクはそうだった。

ニッポンの男性は、へこたれているのかもしれない。

だからヒーローではない渡辺謙の自制や現実との折り合いのつけ方、それでも何かに燃えたいとする男の在り方が、印象に残る。

恋には制約が充分ないと恋たりえないーそう山田太一氏は考えているようだ。

だから、このドラマでは、恋してはいけない伏線が張り巡らされている。

恋をエロスという概念に置きかえてみる。

そうすると、最後の極楽寺のシーンは説明がつく気がする。

もう一度、彼が生き返るためには女神が必要なのだ。

それは過去からではなく、今もしくは未来から来るべきもの。

そのエロスがこれからの彼の人生を甦らせる。

遠まわりをしたけど、セラヴィ・・・それが人生さ、というように。

ふたりは、二度と会うことはないはずだ。

●公式HP

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