不毛地帯 最終回 約束の地
新聞のTV欄には副題として「約束の地」とあった。
最終話のエンディングテーマ「トム・トラバーツ・ブルース」(トム・ウェイツ)と共にズームUPしていく映像ー収容所の彼方に立ち尽くす壱岐の姿をみて、それが判った。
サルべスタン油田の試掘に成功し、壱岐は最後の賭けに勝った。
「石油の安定供給」「国益」「お国のため」・・・彼の大義は果せたろうか?
権力への妄執を原田芳雄と岸部一徳が演じてくれたからこそ見える世界があった。
参謀あがりとされた壱岐の心はどこに向かうのか?
それがこの最終話のテーマだ。
「次の世代へ」「これからは組織、組織で動く時代へ」「組織の力で発展を」。
ひとつの時代(昭和)が終わり、今へ繋がる。
16年間のフラッシュバックが戦後史となって最終話を飾る。
そして・・・。
ー「この国のために少しは役にたてたのでしょうか?」
慰霊碑に向かい壱岐は死者に語りかける。
そしてシベリアの地へ。
彼の原点。
それは日本軍参謀などでなく、シベリア抑留の地で辛酸を舐めたこと。
死者との対話か、死者への弔いか。
最後は言葉にならない思いの涙で締めくくられた。
坂本龍一氏のメインテーマが永らくドラマを支えた。
原田芳雄(大門社長)、岸部一徳(里井)、遠藤憲一(鮫島)、竹野内豊(兵頭)、篠井英介(角田)、阿部サダヲ(毎朝新聞記者)、小雪(秋津千里)、天海祐希(黄紅子)、その他、俳優陣がそれぞれの見せ場を見せてくれた。
そして唐沢寿明(壱岐正)さん。
原作・山崎豊子氏へ感謝。
歴史は、このような物語の形を借りて語り継がれていくのだろう。
今しかみえない時の壁を、物語が乗越えて伝承していけると知る。
前回までは、雪原に立つスーツ姿の壱岐正がいた。
非現実な壱岐の姿が、謎だった。
最終回では、今そこに立つコート姿の壱岐をみることができた。
彼の原点に再び壱岐は戻ったのであろう。
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