「もう、怒らない」(幻冬舎)
「考えない練習」の著者・小池龍之介氏の本をもう一冊読みたくなって、書店に行った。
店員さんに訊ねた。
「お坊さんで、小池龍之介さんという方の本は、ありますか?」
店員さんは自信をもって、宗教関連の書棚に案内してくれた。
「この本が売れています」(と、「考えない練習」を示してくれる。)
御礼をいって、何冊かの本を調べ、そして購入した一冊。
「もう、怒らない」。
著者が本文でも語るように、口述し第三者がタイプすることによって本は制作されている。
文体が平易なのは、そのせいもあるだろう。
わかり易く、論理的でありながらも、結局これは仏道の教えであって、一度読んだくらいでは体得できるような軽い話ではない。
「怒り」は、ノウハウを得ることによって簡単に氷解するものではないようだ。
しかし「怒り」というものに着目する意味は大きい。
心の中に生成される感情に気づき、ほんの小さな「怒り」の萌芽が見つかれば、自分でその目を摘んでしまうことができる、という。
仏道では「怒り」はネガティブな感情すべてを指すものらしい。
我々が考える「怒り」の感情よりも広範囲な象限に収まるさまざまな感情。
その感情は結果的に自分自身を損なう働きをしてしまう。
穏やかな生活を送ろうと思っている。
だから「怒り」に無自覚ではいられない。
しかし「欲望」と「怒り」と「迷い」を、お坊さんではない自分が上手にコントロールできるかどうかは、わからない。
けれど、心の中に揺曳する感情を上手にあやせる大人になりたい。
そんな入門書として、「もう、怒らない」は位置づけられる。
本を読んでから、心の中に生成される感情について、自覚的になるようになった。
そこから「あっ、こんな事を思ってる」と気づくことがある。
「もう、怒らない」とは、ある意味でマニフェストなのである。
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コメント
パソコンに向かうと・・ふとひらくページ・・ダーリンのコーヒータイム・・
一文字ずつゆっくーり読みたくなるページです。だからバタバタ必要に迫られて画面を立ち上げた時には見ないようにしているのです。。。
ちょっと楽しみにしています。
投稿: ゆらりこころみ | 2010年5月23日 (日) 15時33分
ゆらりこころみ さん
コメント寄せて頂き、ありがとうございます。
とても、うれしかったです。
自分が慌しくブログを書いてはいなかったか、と自問しました。
大丈夫であったか?自信はありませんが、これからは、ゆらりこころみさんが大切にしてくださるよう、丁寧に書こうと思います。
一滴(いってき)というか、一滴(ひとしずく)と云うべきか、日々の思いは、儚くとも、共感が人と人との間に伝わりますように。
そんな事を気づかせてくださり、ありがとうございました。
投稿: チャーリー | 2010年5月24日 (月) 22時13分