考えない練習
僧侶・小池龍之介氏の著書「考えない練習」の文体は、なかなか明晰だ。
この本を手にとってしばらく購入をためらっていたのは、今、宗教の教義を自分の中には入れたくないという思いからだった。
しかし「考えない練習」の小池氏は、むしろ論理的に心や脳の思考の歪みを語る。
第3章では『海馬』や『進化しすぎた脳』を著した脳学者・池谷裕二氏との対談があり、この科学者vs僧侶の対談を読むだけでも、一読の価値がある。
『心はひたすら「より強い刺激を求めて暴走する」という特徴を持っていることです。』(P3引用)
そういう視点を持つことは、よりよく生きるお作法を身につける上で、大切なことだ。
『思考はネガティブな方向へと暴走していくようにプログラムされているのです。』(P23引用)
人間の持つその脆弱性を認識し、自らをコントロールしようとする自覚もまた大切。
自分の心の動きを観察してみる。
すると、この感情の奥にはこんな「怒り」が潜んでいる、と自覚できたりする。
その「怒り」は、どこから生じている?
静かに観察する。
評価しない。
静観することが、怒りを怒りでもって増幅させない唯一の方法だと云う。
そんな「練習」を、学校でも、会社でも、社会でも教えてはくれない。
しかしとても重要な練習ー人生のレッスンであるだろう。
1回目の通読を終えた。
そして今、2回目の精読をしている。
自分でマスターし、次に我が家にも、この「考えない練習」を展開できるようにしたい。
日頃、「よく考えよ」「考え続けよ」とボクたちは教育されてきた。
しかし、考える《お作法》を、まずは家庭から共に学びたい。
「考えない練習」。
これは好著です。
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