映画「借りぐらしのアリエッティ」
ジブリの最新作「借りぐらしのアリエッティ」を観た。
映画を観る時は、できるだけ事前情報を入れないようにしてスクリーンに向き合う。(ですから、ここではストーリー等にふれません。ご安心を。)
観る動機は、ただ単純にアリエッティは素敵だなと思ったから。
そしてその通り、アリエッティは魅力的だった。
自分の魅力に気づいていないアリエッティ・・・。
髪を後にクリップで束ねている時は、少女の中性的な魅力が現れる。
髪をほどくと、思春期直前の少女に大人の女性の魅力が暗示される。
とにかくこの映画のアリエッティは、可憐で素敵な造型だ。
アリエッティの家庭が幸せなのは、お父さんが軸のぶれない人だから。いつも何か仕事をしている。アリエッティはそんなお父さんを尊敬している。
一方の主人公の少年の家庭は壊れている。そして少年の心臓も問題を抱えている。
ハートに問題を抱えているというのは、物語の暗示的要素だろう。
少年が健康で恵まれた家庭に育っていたら、アリエッティに強く惹かれていくだろうか?
孤独な少年だからこそ、小さなアリエッティを守ろうとする。
生きる意欲が高まる時、きっとそこには愛がある。
映画を観終わって、ほくほくした気持ちでシアターを出た。
大勢の観客もまた満足げに席を立っていった。
心洗われる映画。
水彩画のタッチで描かれた夏の庭は、素晴らしい。
スクリーンに広がる緑の夏の庭の眺めは収穫だった。
なんのケレンも“あざとさ”もなく、淡々とひと夏のドラマが進んでいく。
自分の現実の夏のドラマもまた淡々と進んでいってほしい。
コメディでもトラジディでもない、ほのぼのとしたドラマで。
きっとこの夏の思い出のひとつに、「借りぐらしのアリエッティ」は加わることだろう。
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