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2010年8月23日 (月)

忘れられた叡智 (田坂広志氏/新著)

昨日、一冊の本と出合った。

丸の内の丸善で、ほとんど瞬間的に出合った本は「忘れられた叡智」。

シンクタンク・ソフィアバンク代表、田坂広志氏の新著で、副題には「誌的寓話 目に見えない資本主義」とある。わずか100頁ほどの小冊子だ。

忘れられた叡智

田坂氏の過去の著作からボクは大きな智慧を得てきた。

「叡智」に重きを置く生き方をしようと志したのは、田坂氏の思想的影響だと思う。

その田坂氏の新刊は寓話。

時間にすれば10分ほどで読み終えることができる。

寓話であることによって、現段階の資本主義の構造と、来るべき望ましい資本主義のあり方がシンプルに呈示される。高校生にもわかるシンボルで、「グロバリア国の片隅の村、ジャポ二ア村」復活のビジョンを描く。

寓話の中の大切な概念「目にみえない価値」は、例えば「言葉にならない知恵」「人間同士の良い関係」「コミュニティでの信頼」「世の中の評判」「社会に存在する文化」「人々の間の共感」などである。

商売においては利益がすべてと信じる「野蛮な資本主義」と呼ばれる経済制度で、忘れ去られた「目に見えない価値」。

「人間同士の良い関係」は「関係資本」と解釈され、それは日本では「縁」や「お陰さま」という言葉で尊ばれてきたもの。

:Enishi (Destined encounter)

お陰さま :(I owe it all to you.)

そのような形で、智慧の数々が呈示される。

(私たちが軽んじた懐かしい智慧の数々。)

毎日バーバリアン・キャピタリズムの中で生きるボクもまた、この寓話からそんな自分を取巻く世界に対する気づきを与えられた。

縁の不思議、縁の有難さを知る人は、幸せの王国の住人になれるはず。

そして幸せの王国に入るためには、自ら「目に見えない価値」を磨く必要があるのだろう。

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