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2010年11月23日 (火)

ラヂオの時間

三谷幸喜氏の監督デビュー作「ラヂオの時間」が公開された1997年、ボクは有楽町のマリオンでこの映画を観た。

満員の観客が映画を観終わって、満足して劇場をでていった時のほっこりとした気分を、懐かしく思い出した。

昨晩のNHKBSでOn Airされている途中から、この映画を再び観て、結局最後まで見入ってしまった。

唐沢寿明さん、若いっ! そしてカッコいい。

セカンドバージンの鈴木京香さんと布施明さんが、この映画でも共演してた。

三谷さんの笑いの作劇は、本当に心がほくほくする仕上がりだ。

十何年前に観た時、気づかなかったことに気がついた。

自分がかつて過ごしていた広告業界で繰り広げられた出来事が、甦ってくるのだった。

今から振り返れば文化祭の連続のようであった時代に、このドラマで語られるような付け焼刃の、スライドするような筋立てで、個性豊かな人々と、CMを造ったり、新聞広告をつくったりした。

そんな時代は今から思えば、牧歌的な時代であったけれど、どこか熱かった。

マーケティングの時代の前に、クリエイティブの時代があった・・・。

このドラマでも語られるように、素晴らしいものを造りたいと願いながら、めちゃめちゃな広告になっていくプロセス・・・それすら懐かしい。

懐かしいのは、そこに登場する人々の顔が、個性的で、ちょっとキラキラしていたからだろう。

この映画の登場人物は、みなそれぞれに出番が用意されていて、キラキラしている。

西村雅彦さんも、戸田恵子さんも、細川俊之さんも、井上順さんも、藤村俊二さんも、モロ師岡さんも、そして今では絶対考えられない渡辺謙さんの役柄もまた、どこかしら温かい。

きっと三谷喜劇は、人間存在を絶対肯定して成り立っているのだろう。

大勢の人々が対立して葛藤するけれど、最後にどこか温かい思いが残ることの、うれしさ。

それは十何年前にも、ユートピアであった。

けれど、今の時代に、益々大切なユートピアであることのように思えた。

ラヂオの時間 スタンダード・エディション [DVD]

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コメント

私も「ラヂオの時間」公開当初に見て大感動したことを覚えています。また見たいですね。

ところで、「クリスマスの約束」で検索してこちらに辿り着きました。あの文章、我が意を得たりでとてもいいものでした。

今年はどうなるでしょうかね。楽しみです。

投稿: tomoto | 2010年11月28日 (日) 20時47分

tomotoさん

コメントを寄せていただき、ありがとうございます。

「ラヂオの時間」・・・、多様な人間を許容し合い肯定することが、今の世の中では難しい風潮がある中で、笑いって、凄いものですね。

井上順さんが、ケンカの仲裁に入って、笑いながら「好きくない」っていう感じ、なんだか絶縁しないで生きる最高の対処法のように思えます。

そして「クリスマスの約束」・・・。

どんな約束を、私たちは観ることになることでしょう。

わくわくしますね!

投稿: チャーリー | 2010年11月30日 (火) 17時49分

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