クリス・マルケルの死に寄せて
映画監督のクリス・マルケル氏が91歳で亡くなったという報に接した。
わずか二十数分のモノクロームの静止画をモンタージュしたフォト・ロマンと呼ばれた作品、映画「ラ・ジュテ」は、後にテリー・ギリアム監督の手で「12モンキーズ」という長編劇映画に結実することになる。
第三次世界大戦と幼年期の記憶を持つ男のタイム・トラベルの物語だか、そこには愛が描かれ、人類の終末観が描かれ、なによりヨーロッパの文化の成熟を感じさせる。
そして、この映画の中には、映画と云うものはこれだ!と思わせる瞬間がある。
静止画が動く僅か数秒のシーンに初めて映画館でふれた時、ボクは奇跡をそこにみた。
そのような映画は、きっと映画史の幼年期の傑作として、歴史に残ることだろう。
今では、ネットでそれをみることができる。
しかし、できれば映画館の暗闇の中で。
せめてDVDなどで、現実の中に特別な時間として、位置づけたい。
映画「ラ・ジュテ」は、ボクにとって永遠のベスト・・ムービーです。
それはこれからも変わることはない。
そして、これからも短編小説を読むように何度も観ることでしょう。
心よりご冥福をお祈り申し上げます。
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