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2012年7月14日 (土)

続・悩む力 (集英社新書)

姜尚中(カン・サンジュン)氏の四年ぶりの続編を読み終えた。

深い洞察と思考によって書かれた論考で、何度も読み返したい魅力がある。

人間に対する洞察を、漱石、ウェーバー、ウィリアム・ジェイムズ、シューマッハー、そしてフランクルの著作をひも解きながら、姜尚中氏はたどっていく。

特に「悩む力」の基となった「悩む人」(ホモ・パティエンス)の概念を深めたフランクルの思想が通奏低音になっていると感じた。

構成は、次の通りです。

序章  「幸福論」の終わり

第一章 漱石とウェーバーに何を学ぶか

第二章 どうしてこんなに孤独なのか

第三章 漱石が描いた五つの「悩みのタネ」とは

第四章 漱石の予言は当たったか

第五章 ホンモノはどこにあるか

第六章 私たちはやり直せるか

第七章 神は妄想であるか

第八章 生きる根拠を見いだせるか

終章  それが最後の一日でも、幸せは必ずつかみ取れる

終章ではフランクルの人間の価値についての三分類、「創造」「経験」「態度」にふれ、「態度」こそが人間のある種の徳の本質を表していることを示す。

そして、小見出しにメッセージが表れる。

「何をやるか」より「どうやるか」

愛は丸ごと受け入れよ

病気はまだ継続中である

巨人たちの背中を見よ

終章の最後に、幸福の方程式を変える必要について、言及していく。

フランクルを敬愛する自分としては、姜尚中氏もまたフランクルから多くの果実を得ていることを知り、うれしかった。

「それでも人生にイエスと言う」(フランクル著)

フランクルの思索は、姜尚中氏の『悩む力』を得て、この日本に再び光を投げかけてくれるように願いたい。

●悩む力

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