J・エドガー
良い映画を通じて現代史を学ぶことは、知的冒険として楽しいことだ。
FBIの初代長官フーバーを、クリント・イーストウッド監督が描く。しかもディカプリオで。
観る前から出来栄えが保証されている映画である。
そして期待にたがわぬ出来栄えだった。
権力に憑かれ永い年月権力の座にとどまったフーバー長官の複雑なパーソナリティーと、彼を支えた人々とのこれまた複雑な愛憎関係が、優れた脚本によってレントゲン写真をみるように描写される。
高齢のイーストウッドが監督に専念できるシステムが、この映画でも発揮されている。
デカプリオは、スコセッシ監督の「アビエイター」で演じたハワード・ヒューズの系譜に連なる複雑なパーソナリティーを持つ歴史上の人物を好演している。
特殊メイキャップを施した老年期のフーバーを演じるディカプリオを観ていて、エドワード・ケネディを演じたら、きっとピッタリだろうと思った。
映画を通じて現代史を学ぶ。
ケネディにしろ、キング牧師にしろ、ニクソンにしろ、そのような映画の観方ができるだろう。
その縦軸として位置づけられる映画、それが「J・エドガー」である。
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