【感謝2700回!】渡辺淳一 私の履歴書
このブログは今日で2700回目の記事となります。
そんなメルクマールの題材に、作家 渡辺淳一氏が日経新聞の朝刊に連載中の『私の履歴書』を取り上げるのは、一瞬躊躇するものがありました。
こんなに赤裸々に男女間のことを書いている『私の履歴書』ははじめてではないでしょうか?
渡辺淳一氏は、おそらく確信犯的にそうしているにちがいありません。
例えば、日経新聞の朝刊の駅売りの売り上げが伸びる、とか。
作家的野心を抱いていらっしゃると推測します。
「失楽園」その他の日経新聞連載の新聞小説のメガヒットは、中高年のあまり素敵ではない欲望の末路の物語で、日経新聞読者が支えたもの。
ボクは常々、そこに描かれる女性像が、演歌の世界と同じように、男性が自らの欲望を投影したものであると感じていた。
銀座のクラブに通うがために、頑張って売れる小説を書いたと、今朝の『私の履歴書』には書かれている。
本当に、正直で、無防備な渡辺淳一氏。
あるいは、したたかな渡辺淳一氏だ。
そのモラリティのなさに、ほとんど笑ながら読んでいるボクは、おそらく渡辺淳一氏を支える愛読者ではないのだろう。
自分の欲望に方法的懐疑を持たない処は、故・川上宗薫氏に相通じるかもしれない。
しかし、売れるということは、そういうことなのだ。
大衆の欲望を映し出したものが映画である、とアンドレ・バザンは述べたけれど、渡辺淳一氏の原作はいくつも映画化されている。
その映画をDVDで観て、ニッポンには役所氏しか男優はいないのか?とか黒木瞳さんはあんなに愚かであろうか?と、あきれて観ているボクもまた、悲しい位に一般大衆です。
そんなことを2700回に記したのは、ボクの目指している世界とは対極の世界を、渡辺淳一氏が描いておられるなあ、ということがわかったからです。
あなたの履歴書は、ノーサンキュー、素敵くありません。
でも、こわいものみたさで、読んでしまうでしょう。
| 固定リンク
コメント