« オリバー・ストーン監督の歴史書 | トップページ | 新宿御苑 言の葉の庭で »

2013年8月13日 (火)

『多崎つくる』 新宿駅9・10番線プラットフォーム

村上春樹さんの『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』。

本当に長いタイトルなので、『多崎つくる』と普段は呼んでいる。

その『多崎つくる』の最終章である19章は、いきなり新宿駅の描写から始まる。

主人公・多崎つくるは、JR新宿駅を眺めるのが好きだ。

大体いつも9・10番線のプラットフォームにあがって、キオスクで紙コップのコーヒーを買い、ベンチに座る。

そこで時を過ごす。

おそらく長い時間を。

25eb404aafd848119e1ec26961aea037

多崎つくるは、そこで様々なことを観察するが、同時に内面で様々なことを考える。

まるで自身の内面世界の交通整理をするように。

混乱した世界を秩序だてたい。

秩序だてられた駅のように。

ギネスブックが「世界で最も乗降客の多い駅」と認定した新宿駅。

その新宿駅の谷間のように佇む9・10番線ホーム。

きっと、村上春樹さんは「新宿駅」をリサーチし、その中でこの谷間を発見したのだろう。

その谷間に佇んでみた。

多崎つくるの内面に揺曳した思いを探りながら。

A7529a53e8be4807918bb40ccbcbbcbd_1

夏の朝が始まる。

|

« オリバー・ストーン監督の歴史書 | トップページ | 新宿御苑 言の葉の庭で »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« オリバー・ストーン監督の歴史書 | トップページ | 新宿御苑 言の葉の庭で »