ロマン・ポランスキー 初めての告白
金曜の晩、Amazonから封書が届いていた。
何ヶ月も前に予約注文したDVD「ロマン・ポランスキー 初めての告白」であるとすぐにわかった。
まるでこの週末にどうぞ、といわれているような絶妙のタイミングだ。
日曜の午前中に、しっかり鑑賞した。
ロマン・ポランスキーは20世紀が生んだ傑出した映画監督である。
ハリウッド映画「ロズマリーの赤ちゃん」や「チャイナタウン」で一般の人にもその名は知られているが、彼はポーランド映画「水の中のナイフ」で世界的に注目を集め、イギリスで「反撥」「袋小路」という傑出した映画を作った。
しかし、一般の人にはロサンゼルスで狂信的なマンソン・ファミリーによる「シャロン・デート事件」で女優であった愛妻を失ったこと、その後の未成年との問題でアメリカの司法の不可解な収監後の国外逃亡によって知られているかもしれない。
幼年期にワルシャワ・ゲットーを脱出したこと。
母親がアウシュビッツで処刑されたことを知るのは、映画通かもしれない。
このDVDは、アメリカから逃亡したことで、スイスの映画祭への招待に応じて移動中に空港で拘束され、アメリカに身柄を引渡すかどうかを審理中に、スイスのポランスキーの別荘に自宅拘留されていた際、永年の友人がポランスキーにインタビューしたドキュメンタリーである。
内面の告白が、そのまま20世紀の悲劇と個人を襲った悲劇の連鎖に光をあてる。
心が震える瞬間が、あった。
ロマン・ポランスキーの近年の傑作「戦場のピアニスト」には、少年ポランスキーがワルシャワ・ゲットーで体験したことがいくつも描かれていることを知った。
今もなお現役の映画監督ポランスキー、ポーランド、フランス、イギリス、アメリカ、スイスと国境を超えて生きてきた一人の傑出した知性が、今何を幸せとしているか?知ることができた。
もしも死んでお墓に自作を一本持っていくとしたら何か?
それも知ることができた。
心に残るドキュメンタリーである。
再び観るだろう。
人生において何が幸せなのか?
感じとれる何かが、そこにはある。
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