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2013年12月11日 (水)

ホリエモンの涙

TVのバラエティ番組に、ホリエモンが出ていた。

ホリエモンを好きか、嫌いか、という観点でゲストたちは好き放題のことを言っていた。

街に出たレポーターも、その観点から、何人かの人にインタビューをし、好きか嫌いかについて報告した。

イメージの問題。

ホリエモンご本人のメッセージの問題。

そして、TV局の表層的な誘導と、貧しい語りの方向性。

ホリエモンは、それらのくだらない表面的な関わりの中で、無意識に自己探求を行っていたかもしれない。

ホリエモンの母親の手紙が、終盤で朗読された。

ホリエモンの内面で、動くものがあった。

涙がにじんだ。

母親の愛情表現の不器用さと、自分自身の同じ不器用さが、一通の手紙を媒介として、ホリエモンの内面を静かなさざなみのように揺らしたようだった。

家族と故郷から遠く離れて、自分自身の自信を獲得するために、長い旅に出た。

さまざまな成功と蹉跌が、ホリエモンを翻弄した。

お金にも翻弄された。

今、ホリエモンに故郷と家族に向き合うようにと、ゲストの心理カウンセラーが語りかけた。

オイディプスがそうしたように、ホリエモンはこれからの人生でその作業に着手することだろう。

オデュッセウスが全てを失ってもなおペネロペの元へ旅を続けたように。

ホリエモンも彼の「オデッセイ」を旅するだろう。


そして、好きだ嫌いだ、と好き勝手なことをいった人々もまた、その人の人生を歩んでいる。

自分の人生に、彼らは気づいていないかもしれない。

TV局も、気づいていないかもしれない。

ホリエモンには、稀有な体験をもたらした番組だった。

TV局の想定外の、収穫だった。

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