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2014年1月27日 (月)

躓きのない人生 村上春樹さんの多崎つくる君は

『多崎つくる』。

この小説を数回読み返している。

232ページに「躓きのない人生」という言葉が出てくる。

多崎つくるは、自分への他人の評価をそう思う。

興味深い。

人がそのように思うことと、本人がそう思えることとは、天と地程の開きがある。

ボクの場合は?

躓きだらけの人生だ。

躓きだらけの人生。

本当は、誰もが、そうかもしれない。

カウンセリングをしていて、躓いていると思っているクライエントを前にして、誰もが躓いていると思っていますよ、誰もが手遅れだと思っていますよ、といいたくなる時がある。

けれども、あなたは自分の意思で自由に歩き回り、そしてボクの前に座った。

素晴らしいことではないのか、とボクは密かに思う。

ボクは、躓きだらけの人生だ。

けれども、躓く度に、おそらく這い上がってきたのだろう。

だから思う。

躓きだらけの人生でも、いいではないか。

人生の味が味わえますぞ。

涙と共にパンを食べた者でなければ、人生の味はわからない。

そう、ゲーテも云っている。

いや、そんな味は好んで味わう必要はないのだ。

躓きのない人生を過ごして、
無事に、
無事に、
何事もなく、
人生を送りたければ、それもまた人生。

そう、何もない人生。


それがお好みならば。「躓きのない人生」に、ようこそ。


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