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2014年2月 5日 (水)

仕事を始めて四百日目。

カウンセラーに似ている職業は、何だろう?

思案する。

寿司職人をイメージする。

カウンターを挟んで、旬のネタを供する。

その瞬間の持続こそ、すべて。

お客さんが満足し、また足を運んでくださる。

贔屓のお客さんが、ある時には馬鹿話をしたり、愚痴るかもしれない。

握りながら、控えめに、聞き役に徹するだろうか。

カウンセラーもまた同じ。

真剣勝負。

ネタは、クライエントの人生の転機。

そこには、悔しさがあり、不安があり、そして涙がある。

ボクは職人として、そんな思いに添いながらも、課題を手際良く整理して、これからの指針を提案したりする。

クライエントが経験する一時間は、ボクの過ごした四百日のうちの一時間。

こんな経験はしたことがない、そんな一時間にできるなら。

誰が本気で自分のことを考えてくれるのか?

人は誰もが胸に問う。

あの時、真剣にかかわってきた人のことを、人は忘れていくだろうか。

いや。
そんな経験が一度でもあれば。

人は生きていける。

ボクもまた、そうだった。

そのような経験を一度でもできたなら。

この世は、捨てたものではない。

人の世 だ。

ボクは、そんなことを考える。

この仕事をしていて、無力だ。

それでいいさ。

できることを、するだけだ。

明日、四百日目。

真っさらな思いで、クライエントを迎えよう。

最初のひとりを迎えたあの日のように。

あの日よりは、リラックスしている自分がいる。

ボクの日常なのだ。

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