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2014年2月 9日 (日)

四十五年ぶりの大雪 本厚木で

二十年ぶりとか十年ぶりの大雪と天気予報で呼びかけていた。

過ぎてみれば、東京では四十五年ぶりの大雪になった。

やれやれ。

土日に次男坊のアルバイトがあった。東名厚木インター近くまで行かなくてはならなかった。

朝の段階で、ノーマルタイヤでは危なそうな雪の積り方だった。クルマで送るのは諦めた。次男坊は電車を乗り継いで厚木方面に出かけた。

湘南の我が家の窓から、雪のふり方を眺めていた。お昼前に吹雪のようになった。

これでは電車は止まるかもしれない。

厚木インター周辺が一面の雪原になっているのを想像した。

その雪原の片隅に次男坊はいる。

土曜の仕事が終わってから、帰宅できる保証はない。

日曜の朝、再び厚木インター雪原まで行ける保証もない。

家族と相談し、本厚木のビジネスホテルを予約した。

果たしてボクは本厚木まで行けるかな?

雪の積もり方、ふり方が常ならざる感じだった。ゆっくりゆっくり最寄り駅まで歩いた。

東海道線も遅れ、小田急線も、徐行したり止まったりしながら、何とか本厚木駅に着いた。

次男坊には、
「救助に向かう」と短いメールを送っておいた。

家族経由で、とても感謝していると連絡が入った。

本厚木の駅から、普通ならば徒歩五分の距離にあるビジネスホテルまで、ゆっくりゆっくり歩いた。

ホテルにチェックインした。タクシーの配車をお願いしたら、今日は大雪でタクシーが出払っていて、予約出来ないと告げられた。

やれやれ。

どうやって厚木インターの雪原まで、行けるだろう?

徒歩は無理だ。

バスの路線図を調べたが、よくわからない。

ホテルもよくわかっていない。

明るい内に移動した方がよいと判断した。

ひとまず本厚木駅南口のロータリーに行った。

バスの運転手に教えて貰った。

一時間に二本位の路線がある。

時間をつぶし、やっと来たそのバスに乗った。

乗客はボクを入れて二人。

運転手さんが、そばに座ったボクに、いろいろと情報提供してくれた。

帰りの時刻を教えてくれた。

その時刻を控えた。

厚木インターの大雪原は、ボクの想像を上回る暴風雪だった。

風が横殴りに吹く。つぶてのような雪が頬に当り痛かった。

傘は壊れ、あと三十分歩いたら、雪だるまに変身したかもしれない。

クルマも途絶え、人もいない。

往年の名作、小林正樹監督の大作映画「戦争と人間」の最終場面、大雪原を彷徨う仲代達矢を思い出した。

この雪原を、ボクが歩いていることを誰も知らない。

やっとのことで、厚木インターのマクドナルドに到着し、ビバーク。

全身の雪を払い、暖かな店内で待機した。

お客はほとんどいない。

マクドナルドのアルバイト店員の声が、誰もいない店内に響いてくる。

次男坊との待合せまでの二三時間は、調べものをしたり、本を読んだりして過ごした。

しかし約束の時間になっても、次男坊はやって来ない。

心配した。

雪原が見渡せる窓際の席に移動した。

遠く夜の雪原の向こうに、よろけるようにして歩いてくる人影がみえたのは、約束の時間よりも十分ほど遅れた頃だった。本厚木駅行のバスの発車時刻まで、あと十分位しかなかった。

もちろん四十分位待てば次が来る。

けれど暴雪だから早い方がいい。

全身濡れてる次男坊と共によろけながら再び雪原を辿った。

たどり着いたバス停では吹雪いていた。

身体が風に煽られる。バス停のポールにつかまっていないと、車道に落ちそうだった。

しかしなかなかバスは来なかった。

おかしいなぁ。

運転手さんと約束したのになぁ。

遅れて、やっとバスが来た。

永遠の時間が流れたようだった。

すみません、運転手さんは謝った。

安全第一で徐行運転してきたのだ。

ホッとして、けれど無口になってバスに揺られた。

次男坊の頭がしっぽり濡れていた。

愛おしさがこみ上げてくる。

あともう少しだ。

温かいバスタブ。

温かい食事。

転倒しないようにソロソロと歩きながら、通り道でケンタッキーフライドチキンをたっぷり買い、ファミマでドリンクを仕入れ、ホテルに到着。

バスタブにお湯をはり、濡れた服を干し、次男坊に先に入浴を勧めた。ボクは、初めてホッとした。

TVでソチの中継をみながら、バスローブにくるまった次男坊は、わしわしフライドチキンを食べた。ボテトとビスコッティを食べ、ホテルの用意してくれたワインをふたりで楽しんだ。

あの大雪原から、そのホテルの一室までは冒険だった。

もしもボクがほめられることをしたとすれば、子供の身の安全を確保しようと動いたことだろうか?

自然の猛威を、厚木インターの雪原で、ボクは実感した。

今日の晴れ。

ありがたい。

足元、くれぐれも注意しましょう。

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コメント

家族の絆を感じる素敵なエピソードですね。大変だったと思いますが、お父さんの愛情と優しさに、きっと息子さんも感謝していると思います。

私は土曜の夜、帰りの電車が動いていなかったので吹雪の中を家まで歩き、翌日は出張で朝早く起き、いつ来るかわからない電車を待ったりと大変でした。そして1回、転びました
まだ雪が残っていますし、出勤や帰宅時はお気をつけて。

投稿: かめる | 2014年2月10日 (月) 09時00分

かめるsan

コメント、ありがとうございます。

今回の大雪は、ボクには忘れられない体験になりました。

働いている次男坊は、迎えに行かなければ、何時間かかけて、雪原を歩き、止まったり減速したりする電車を乗り継いで、帰宅することは出来たと思います。

けれど濡れて冷えた身体で帰宅して、また翌朝現地に戻れたかどうか。

父親として、たとえアルバイトであっても現場に穴をあけないことを教えたかったのかもしれません。

「お金は使う時は使え」。

そんなことを、いつか教える時がくるかも。

もちろん、今回はパパ持ち、でしたが。

投稿: チャーリー | 2014年2月11日 (火) 21時00分

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