アラン•レネ監督 逝去の報に接し
三月一日、パリで逝去。
その報に接した。
アラン•レネ監督。
享年九十一歳。
二十世紀の映画史において、最も知的な映画を作り続けた人だった。
いや、もっと個人的なことをいえば、ボクの青年期に大きな影響を与えた映画人だった。
おそらく今の若い人には忘れられた監督だろう。
ヌーヴェルバーグ、ゴダール、レネ、アントニオー二。
その名前を知らなくても、今映画をつくる世界の映画人は、学びの過程できっと彼らの洗礼を受けるに違いない。
アラン•レネ。
短編映画『夜と霧』。
長編第一作『二十四時間の情事』。
マルグリット•デュラスが脚本を書いた。
原題「ヒロシマ•モナムール」。
長編第二作『去年マリエンバードで』。
アラン•ロブ•グリエ脚本のヌーヴォーロマンの映像化。
そして『ミュリエル』。
『戦争は終わった』。
『薔薇のスタビスキー』や『プロヴィデンス』。
六十年代から七十年代にかけてが全盛期だった。
映画表現の可能性を広げた人だった。
本当に素晴らしい映画をつくり続けてくれた。
そして、日本では忘れ去られた。
しかしボクの胸に刻まれた彼の映画の数々は今でも輝いている。
文学のように、これからも彼の映画は生き続けることだろう。
未来の映画人に驚きをもって観られることだろう。
彼は、あるいは現代映画の青春を生きた監督だ。
アラン•レネの死を悼む。
ボクに大切な何かを教えてくれた。
世界を理知的な眼差しで、捉えることを教えてくれた人である。
心よりご冥福をお祈り申し上げます。
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