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2014年4月 1日 (火)

伊集院静氏の新社会人へのメッセージ

四月一日恒例の新聞広告が掲載された。

新社会人に向けた伊集院静氏のメッセージだ。

サントリーのこの広告シリーズを、成人の日のシリーズと共に楽しみにしている。

自分もまた四月一日に、新たに社会人になったつもりで読む。

伊集院さんは、こんなメッセージを発した。

『先駆者になれ』

うむ。

心の中に浮かんだのは、自分の新社会人になった頃の思いだ。

野心があった。

先駆者、という言葉とは違うが、イノベーターでありたいと思った。

そう思っている若僧は、上司や先輩からあたたかく迎えられる訳がない。

それが世の常だ。

出る杭は打たれる。

何度、打たれたことだろう。

きっとそれが成長の原動力になったに違いない。

三十代になるまでの十年間は、下積みの苦しい時代だった。

だから、自分の息子たちに、「先駆者になれ」とは言えない。

もっとずるく、したたかに生きていってほしい。

先輩たちの仕事の仕方を徹底的に踏襲し、その過程でイノベーションを起こせる部分は起こし、エクセレントにしていく。

決して、先輩や上司に「先駆者」であると気づかれないように。

トロイの木馬のように、内部をくり抜け。

そう告げたい。

先駆者は最初に傷つけられる存在だ。

大人はそれを知っているから、上手に立ち回るものが出世するのだろう。

そして、若い芽を摘む大人もまた多い。

だから。

「上手くやれ」

でも。

こんなメッセージでは、新聞広告にはなるまい。

しかし、したたかに生きていってほしい。

人生は新社会人が思うよりも長く険しい。

けれど、そこには出会いがあり、喜びもある。

ウィスキーを飲むならば、
さて最初に何が良いだろう?

そんなことを考えさせるこの広告は、やはり良い広告なのである。



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