伊集院静氏の新社会人へのメッセージ
四月一日恒例の新聞広告が掲載された。
新社会人に向けた伊集院静氏のメッセージだ。
サントリーのこの広告シリーズを、成人の日のシリーズと共に楽しみにしている。
自分もまた四月一日に、新たに社会人になったつもりで読む。
伊集院さんは、こんなメッセージを発した。
『先駆者になれ』
うむ。
心の中に浮かんだのは、自分の新社会人になった頃の思いだ。
野心があった。
先駆者、という言葉とは違うが、イノベーターでありたいと思った。
そう思っている若僧は、上司や先輩からあたたかく迎えられる訳がない。
それが世の常だ。
出る杭は打たれる。
何度、打たれたことだろう。
きっとそれが成長の原動力になったに違いない。
三十代になるまでの十年間は、下積みの苦しい時代だった。
だから、自分の息子たちに、「先駆者になれ」とは言えない。
もっとずるく、したたかに生きていってほしい。
先輩たちの仕事の仕方を徹底的に踏襲し、その過程でイノベーションを起こせる部分は起こし、エクセレントにしていく。
決して、先輩や上司に「先駆者」であると気づかれないように。
トロイの木馬のように、内部をくり抜け。
そう告げたい。
先駆者は最初に傷つけられる存在だ。
大人はそれを知っているから、上手に立ち回るものが出世するのだろう。
そして、若い芽を摘む大人もまた多い。
だから。
「上手くやれ」
でも。
こんなメッセージでは、新聞広告にはなるまい。
しかし、したたかに生きていってほしい。
人生は新社会人が思うよりも長く険しい。
けれど、そこには出会いがあり、喜びもある。
ウィスキーを飲むならば、
さて最初に何が良いだろう?
そんなことを考えさせるこの広告は、やはり良い広告なのである。
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