土曜ドラマ 「55歳からのハローライフ」
リリー・フランキーは上手い。
58歳で早期退職した営業マン、その心の揺れを見事に演じている。
恵まれたサラリーマン生活だったのだろう。
職場で送られるシーンから始まるこのドラマは、そこからの転落、夢の挫折、かすかな拠所で構成されている。
そこからの転落とは、リーマン(会社人間)が、一人の人間に戻っていくこと。
組織を背景としていたアイデンティティが成立しなくなるのは、再就職の困難さに直面してから。
夢の挫折とは、キャンピングカーで妻と旅しようという夢が、相棒の妻に支持されない処から始まる。
妻もまた、妻の時間を生きていることに気づいたリリー・フランキーのやるせなさがいい。
そして、かすかな拠所とは?
やはり妻との関係、夫婦の人間関係の大切さにリリーが思い至る処。
妻を演じた戸田恵子が好演している。
オトナの鑑賞にたえるビターなドラマだった。
キャンピングカーで、昔観た映画「アバウト・シュミット」を思い出した。
キャンピングカー(人生の願望、夢)が、ドラマの装置として上手く使われている。
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