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2017年5月24日 (水)

“ばかうけ”を食べながら

映画「メッセージ」を反芻している自分がいる。

“ばかうけ”を縦にして眺める。確かに、あの円盤みたいだ。

映画のネタバレを戒めながら、自分の心の中で反芻する概念を書き記そう。

「人生の転機」になる経験をして、その転機を迎える前と後で世界観や世界に対する認識が変わる。それをSF映画という形式を借りて語った物語。主人公の女性の意識の変容と、この世界や運命を受容する過程が描かれて、しっかりとした人間ドラマになっている。

“ばかうけ”の形象をした謎の物体が風景の中に屹立している映像は、優れた造型であった。同じ物体が世界各地に屹立している。それが面白い。

キューブリックのモノリスが彼の「スペース・オデッセイ」(2001年宇宙の旅)において象徴性を担ったように、「メッセージ」では“ばかうけ”が人工造型と有機的な自然造型を融合し、存在感ある表現として成功している。

映画を観終わって、このように反芻する行為は、自分の体験を経験へと昇華していく過程に似ている。

そのようなことを楽しめる映画は、そうそうない。

映画「メッセージ」はそのようなことを楽しめる稀有な映画だ。

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